研究部

2021年度より、日本ハンザキ研究所では研究部を発足しました。

以下、研究員制度の趣旨と研究員の紹介です。

研究員制度の趣旨

 当研究所の設立趣旨にあるように、オオサンショウウオとそれを取り巻く自然環境の保全及び復元を目指して継続的に活動してゆくには、長期的に調査研究に従事できるパートナーが必要です。

 そのため日本ハンザキ研究所では熱意をもって調査研究に専念できる方を研究員として迎え、必要に応じて予算の許す範囲内で研究費を支給しております。研究員には年次レポートの提出、研究論文の発表、そして国内外の学会や日本オオサンショウウオの会での発表を通じて研究成果を社会に還元することを義務として活動していただいております。

研究員の資格

 国籍を問わず日本ハンザキ研究所と協力し、オオサンショウウオ及びその他の野生生物と自然環境についての調査研究に従事できる博士の学位を有する者、または博士課程在籍の者。博士の学位を取得していない者、博士課程に在籍していない者であっても、オオサンショウウオやハンザキ研究所に関する研究に一定期間従事してきた者に関しては研究員の資格を与えられることがあります。

研究部長

岡田 純(オカダ スミオ)NPO法人日本ハンザキ研究所理事長

 

 

【ひとこと】

オオサンショウウオは夜行性で、長命なこともあって生態の大部分は謎に包まれています。黒川渓谷の恵まれた自然環境の中、我々はオオサンショウウオの研究にじっくりと取り組み、寿命や成長、繁殖や子育て、幼生の生活史などオオサンショウウオの謎を一つ一つ解き明かし、ダムなどの人為的な影響についても研究を進め、保全方法を確立していきたいと考えています。

【略歴】

1967年広島県呉市生まれ。鳥取大学大学院連合農学研究科後期博士課程修了。博士(農学)。オオサンショウウオの生態研究で博士号取得後、鳥取大学大学院工学研究科プロジェクト研究員(自然資源の保全と活用について研究)2011NPO法人日本ハンザキ研究所副理事⻑、2017年から同理事⻑となる。鳥取県・兵庫県などでオオサンショウウオの調査・研究及び後身の指導をする傍ら、ZSL(ロンドン動物学協会)が中心に進めている中国におけるオオサンショウウオ属の保全研究プロジェクトに参画し、生息調査の立ち上げなどに携わる。現在はオオサンショウウオを育む自然環境を地域ぐるみで守るための制度設計やオオサンショウウオの保全教育に力を入れている。

 オオサンショウウオの他にも小型サンショウウオやカエル、ヤモリ、ヘビなど爬虫両生類の調査・研究を広く行っています。近年は、ニホンヤマネなどの樹上性の齧歯類にハマっています

【オオサンショウウオに関する学術論文】

 Tapley, B., ST Turvey, S Chen, F Xie, J Yang, Z Liang, H Tian, M Wu, S Okada, J Wang, J Lü, F Zhou, J Xu, H Zhao, J Redbond, T Brown and AA Cunningham. 2021. Range-wide decline of Chinese giant salamanders Andrias spp. from suitable habitat. Oryx 2021:1-9. 

 Bjordahl, B., S Okada and MK Takahashi. 2020. Assessment of small tributaries as possible habitats for larvae and juveniles of Japanese giant salamanders, Andrias japonicus, by coupling environmental DNA with traditional field surveys. Salamandra 56: 148-158. 

 Turvey, ST., S Chen, B Tapley, G Wei, F Xie, F Yan, J Yang, Z Liang, H Tian, M Wu, S Okada, J Wang, J Lü, F Zhou, SK Papworth, J Redbond, T Brown, J Che and AA Cunningham. 2018.

Imminent extinction in the wild of the world’s largest amphibian. Current Biology 28: R592-R594. 

 Takahashi, M.K., S Okada and Y Fukuda. 2017. From embryos to larvae: seven-month-long paternal care by male Japanese giant salamander. Journal of Zoology 302: 24-31. 

 Okada, S., Y. Fukuda, and M.K. Takahashi. 2015. Parental care behaviors of Japanese giant salamander, Andrias japonicus in natural populations. Journal of Ethology 33:1-7. (Editor's Choice 2015 Article) 

 Tapley,B., S Okada, J Redbond, ST Turvey, S Chen, J Lü, G Wei, M Wu, Y Pan, K Niu and AA Cunningham. 2015. Failure to detect the Chinese giant salamander (Andrias davidianus) in Fanjingshan National Nature Reserve, Guizhou Province, China. Salamandra 51: 206-208. 

 Okada, S., T Utsunomiya, T Okada, ZI Felix and F Ito. 2008. Characteristics of Japanese giant salamander (Andrias japonicus) populations in two small tributary streams, in Hiroshima Prefecture, western Honshu, Japan. Herpetological Conservation and Biology 3: 192-202. 

 Okada, S., T Usunomiya, T Okada and ZI Felix. 2006. Radio Transmitter attachment by suturing for the Japanese Giant Salamander (Andrias japonicus). Herpetological Review 37:431-434. 

【オオサンショウウオに関する報告・書籍など】

 岡田 純. 2019. 実はイクメン!?オオサンショウウオの子育て行動. In:ぎょぶる特別編集 特盛山椒魚本―めくるめくサンショウウオ&イモリの世界. ぎょぶる編集部(北九州) . 206pp. 

 岡田 純. 2019. オオサンショウウオとそれを取り巻く生息環境の保全を考える. In: ぎょぶる特別編集 特盛山椒魚本―めくるめくサンショウウオ&イモリの世界. ぎょぶる編集部(北九州) . 206pp. 

 岡田 純. 2018. ヘルベンダーの棲む川を訪ねて. 両生類・爬虫類専門雑誌Caudata,第2号:5–8.

 岡田 純. 2012. オオサンショウウオ. p.68. In: 鳥取県生物学会(編)レッドデータブックとっとり改訂版鳥取県の絶滅のおそれのある野生動植物.鳥取県. 337 pp. 

 岡田 純・一澤 圭. 2011. 鳥取県東部(八頭町私都川)からのオオサンショウウオの捕獲記録. 山陰自然史研究 6: 54-55. 

 岡田 純. 2011. オオサンショウウオ. p.96. In: レッドデータブックひろしま改訂検討委員会(編)広島県の絶滅のおそれのある野生生物(第3版)―レッドデータブックひろしま2011. 広島県. 633p.

 岡田 純. 2009. 倉吉市関金町松河原の水路で再捕獲されたオオサンショウウオ. 山陰自然史研究4:61-63. 

 岡田 純・一澤 圭・川上 靖2008. 2001-2006年に鳥取県日野川および塩川で拾得されたオオサンショウウオAndrias japonicusの死体の記録. 鳥取県立博物館研究報告45:11-16. 

 岡田 純. 2008.道路を歩いていたオオサンショウウオ.爬虫両生類学会会報2008:83-84.

 岡田 純. 2007. 倉吉市河来見国府川からのオオサンショウウオの記録.山陰自然史研究 3:20-21.

 岡田 純 2006. 鳥取県中・西部7河川におけるオオサンショウウオの生息状況. 山陰自然史研究2:21-28.

 岡田 純 2006. ヤマカガシの死体を食うオオサンショウウオを目撃.山陰自然史研究2:38-39.

 川上 靖・平尾和幸・岡田 純 2005. 世界最大級のオオサンショウウオの標本. 鳥取県立博研究報告42: 1-2.


研究部チームリーダー

高橋瑞樹(タカハシ ミズキ)理学博士 アメリカ合衆国バックネル大学生物学部准教授

 

 

 

【ひとこと】

オオサンショウウオの子育て行動、幼生・幼体の生息地調査、ダムの影響に関する研究に従事しています。オオサンショウウオの保全に貢献できるように、他の研究員と共同して、楽しみながら研究していきたいと思っています。 

【趣味】キノコ採り、山菜採り、ドングリ拾い(食用)。釣り。アウトドア一般。ランニング。読書。ビールを飲みつつギターを弾くこと。最近はバードウォッチングに目覚めつつある。

【略歴】

1973年北海道生まれ、東京都町田市育ち。筑波大学生物資源学類卒業。東京大学農学生命科学研究科修士課程修了。同大学院博士課程中退。アメリカ合衆国に大学院留学。マーシャル大学生物科学部修士課程修了。メンフィス大学生物科学部博士課程修了。博士(生物)。バックネル大学生物学部ポストドクトラルフェロー、同大学客員助教を経て、現在バックネル大学生物学部准教授。生物学専攻及び動物行動学専攻の学生を対象に生態学、進化学、保全学、動物行動学、両生類学、等の授業を担当。また研究休暇中(2015年、2019年~2020年)は、同志社大学にて客員助教として日本の環境保全問題についての授業を担当。オオサンショウウオを中心に両生類の保全生態学研究に従事。アメリカ合衆国ではヘルベンダー(アメリカオオサンショウウオ)の生息地調査及び、凍結防止剤がキボシサンショウウオとアカガエルの種間競争に与える影響について研究中。現在、学術雑誌「Herpetological Conservation & Biology」の共同編集者を務める。

【専門分野】

保全生態学、動物行動学、両生類学

 

【オオサンショウウオ関連の学術論文―Related publications 

 Bjordahl, B, S Okada and MK Takahashi. 2020. Assessment of small tributaries as possible habitats for larvae and juveniles of Japanese giant salamanders, Andrias japonicus, by coupling environmental DNA with traditional field surveys. Salamandra 56: 148-158

 Terry, J, Y Taguchi, J Dixon, K Kuwabara, and MK Takahashi. 2019. Preoviposition paternal investment by nest cleaning in a fully aquatic giant salamander. Journal of Zoology 307: 36-42

 Takahashi, M.K., M.J. Meyer, C. McPhee, J.R. Gaston, M.D. Venesky, and B.F. Case. 2018. Seasonal and diel signature of eastern hellbender environmental DNA. Journal of Wildlife Management 82: 217-225

 Takahashi, M.K., S Okada and Y Fukuda. 2017. From embryos to larvae: seven-month-long paternal care by male Japanese giant salamander. Journal of Zoology 302: 24-31

 Okada, S., Y. Fukuda, and M.K. Takahashi. 2015. Parental care behaviors of Japanese giant salamander, Andrias japonicus in natural populations. Journal of Ethology 33:1-7 (Editor's Choice 2015 Article)

【外部リンク- External link

バックネル大学高橋研究室 (Bucknell Takahashi lab website)https://sites.google.com/bucknell.edu/takahashi-lab/home


研究員

池上優一(イケガミ ユウイチ)技術士[建設部門(建設環境)

【ひとこと】

栃本武良氏や大野正男氏の『文献目録』にある過去の幾つかの文献に接して、歴史に埋もれたオオサンショウウオに興味を持ち、栃本前理事長、岡田現理事長にお願いして、厚かましくも端っこに加えて頂いている次第です。

退職後に勉強を始めましたが、中国や我が国の古典籍さらには近世の古文書類に接してみると、現代に通じる礎の存在に気付き、それからが連綿と続いていることに驚きます。民俗・歴史分野で全くの駆け出しですが、人生最後の余暇に純粋な疑問を解決しつつ何とかまとめたいと思っております。

【趣味】

読書、古文書解読、本草の歴史探求 

【略歴】

1948年岡山県生まれ。島根大学大学院農学研究科修士課程修了。

民間会社で環境調査部門に携わり、2007年退職。 

【会誌『あんこう』への投稿】

 

オオサンショウウオの古名と地方名シリーズ・『あんこうとハンザキ』(2009.3)~『加賀国のサンショウウオ』(2012.9.)など。(現在、総括版その他とりまとめ中)


研究員

髙木香里(タカギ カオリ)農学博士 日本国際湿地保全連合研究員

 

【ひとこと】

サンショウウオの移動分散や個体群維持機構、局所適応に興味があります。サンショウウオにしかできない独特の生存戦略や工夫を見つけて感動することが夢です。また、研究結果を生かして日本のサンショウウオの保全に貢献していきたいと思っています。

 

【趣味】

サンショウウオを探して観察すること、犬と一緒の登山、水辺と古い建物のそばにいること、生き物の絵や漫画を描くこと、上杉鷹山さん、歴史を勉強すること。

【略歴】

東京学芸大学教育学部卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。同大学院博士課程単位取得退学。博士(農学)。現在日本国際湿地保全連合の研究員。トウキョウサンショウウオの移動様式と局所適応について研究しています。

【専門分野】

両生類学、保全生態学、個体群生態学

【学術論文・発表―Related publications

論文

Takagi, K. and Miyashita, T. 2019 Larval Prey Preference of Pond-breeding salamander Hynobius tokyoensis Living in a StreamCurrent Herpetology in East Asia. Herpetological Society of Japan, Kyoto 

口頭発表

Salamander population persistence from a spatially explicit cross-ecosystem perspectiveThe 9th World Congress of herpetology, Dunedin, New Zealand,20201月)

Salamander population persistence from a spatially explicit cross-ecosystem perspectiveThe Annual meeting of The Ecological Society of Japan, Kobe International Conference Center, Kobe, Japan,20193月)


研究員

浜中京介(ハマナカ キョウスケ)理学修士 京都大学大学院理学研究科博士課程

 

【ひとこと】

食性や採餌行動、攻撃(防御)行動などを中心とした動物行動学が専門で、おもにマムシなどのヘビを研究しつつ、10年以上ハンザキ調査に携わってきました。未だ謎の多いハンザキの行動や生態を少しずつ解き明かしていければと思っています。

 

【趣味】

山歩き、沢歩き、ヘビ捕り。歌、諸々の楽器演奏、曲作り。お絵描き。クラシック音楽鑑賞。美術鑑賞。映画鑑賞。ワインを中心に、お酒のテイスティングと勉強。車。

【略歴】

1994年兵庫県生まれ、丹波篠山育ち。京都大学理学部卒業。京都大学大学院理学研究科修士課程修了。現在同研究科の動物行動学研究室にて博士課程在学中。学部の卒業研究ではニホンマムシにおけるムカデ食の至近要因に関する研究と、京都におけるオオサンショウウオ交雑個体の攻撃性に関する研究を並行しておこなった。現在はニホンマムシをはじめとするクサリヘビ科を対象とし、採餌行動や形態の比較を通して、食性の進化過程やその要因を研究中。オオサンショウウオに関しては、ハンザキ研究所の調査には高校時代、京都市の調査には学部時代から継続して参加している。2016年には、研究者と一般市民の隔てなく情報共有やフィールドワークができる交流の場として、サークル『京都爬虫両生類の会』を設立、初代会長を務めた。

【専門分野】

動物行動学、爬虫両棲類学

【オオサンショウウオ関連の学術論文、文献】

Hamanaka, K., H. Akimoto, A. Otake, K. Yamamoto, and K. Nishikawa. 2020. Andrias japonicus. Diet. Herpetological Review 51: 347.

浜中京介2018. 交雑オオサンショウウオの調査.両生類・爬虫類専門雑誌Caudata,第2号:913.

【外部リンク】

 

京都大学動物行動学研究室:http://www2.zool.kyoto-u.ac.jp/ethol/