設立趣旨書

オオサンショウウオは河川生態系の最上位に君臨する世界最大の両生類であり、その棲息地は北米の一部、中国の一部そして日本の岐阜以西の三箇所のみで、各々別種です。

我が国では、昭和27年に国の特別天然記念物に指定され保護対象になりましたが、土地開発、河川とその背後地の荒廃等々によって、棲息域は上流域へと追いやられています。現在では、河川整備の見直し、背後地を含めた生態系の重要性の再認識などにより、自然環境の保全及び復元が注目されるようになってきましたが、オオサンショウウオの生態はまだまだ不明な部分が多く、今後の調査・研究により解明するとともに、保護・保全の手法を明確にしていく必要がある状況です。

平成17年より廃校の黒川小中学校で、地域、行政、NPO法人などの協力により、オオサンショウウオの調査・研究施設とあんこうミュージアムづくりを目指し、実現に向けて整備を行っています。そして、平成19年の初めには、財団法人リバーフロント整備センター助成によるオオサンショウウオ人工産卵巣穴観察施設が完成、また、同年末には兵庫県八鹿土木事務所によってプールを利用したオオサンショウウオ一時保護施設が完成して、多くの個体が保護管理されています。

過疎化と高齢化が進むこの朝来市生野町黒川のこの地で、廃校を利用してオオサンショウウオをテーマにした調査・研究施設及びミュージアム施設を整備することにより、地域の人々のみならず広い地域の人々が交流を行うことができ、児童や親子連れさらには高齢者などの環境学習の場としても活用できます。今後、黒川小中学校の利活用の可能性はまだまだ広がっていくものと思われます。

今回、法人として申請するに至ったのは、上記活動を主体的かつ永続的に実施するために、地域の人々、行政、学識経験者をはじめ、様々な分野、立場の人々が協力し、広汎かつ多角的な視点に立って連携することが不可欠であったからです。そして、その連携を調整・維持することが私たち団体の役割でもあると考えております。

ここに改めて「オオサンショウウオとそれを取り巻く自然環境の保全及び復元を目指し、同様な主旨を有する個人や団体などと相互に交流及び協力を行いながら、調査・研究の推進、保全及び復元の技術の開発、学習の支援や人材育成、広報・交流活動並びに普及啓発等の事業を行い、生態系の保全と持続可能な社会の構築に寄与することを目的とすること」を趣旨として設立致します。